グローカルとは?
グローカルとは、グローバル(global)とローカル(local)をかけ合わせた混成語である。意味は「国境を越えた地球規模の視野と、草の根の地域の視点で、さまざまな問題を捉えていこうとする考え方グローカリズム」(大辞林より)を指す。

1980年代に、海外市場に進出した日本企業が販売戦略として使い始めた和製英語である。The Oxford Dictionary of New Words (1991:134, glocal の項目)によると、当時、グローバル市場に乗り出した日本企業は、自社製品を現地のニーズに合わせて「現地化」するという販売方法を採用した。その戦略をグローバル市場に合わせた現地化(global localization)という意味でグローカリゼーション(glocalization)と呼んだことに由来する。

この「グローカリゼーション」という言葉・概念は、1990年代半ば以降に起きた反グローバル化の運動(anti-globalization movements)や、他方で地方や地域の政治・経済・社会・文化振興機運の高まりが同時進行的に起こったことから、注目を集めることとなった。その結果、当初の経済的文脈の他に、新たに社会運動や政治運動等の文脈における概念が加わり、一般的に「地球規模で考え、足元から行動せよ(Think globally, act locally.)」の概念で使用され、今日に至っている。
なぜ今グローカルが叫ばれるのか?
今、何故日本でグローカルの概念が注目されるようになったのか?幾つかの理由が挙げられるが、今日の日本の置かれている状況から、大きく次の2点が挙げられる。

第一の視点は、急速に進展するグローバル化と反グローバル化の動きとその影響である。90年代後半以降に起こったこの相反する動きは、将来更に増幅し先鋭化して行くことが予想される。2010年代以降、いわゆる第4次産業革命(IR4.0)の進展・進化のなかで、ITやデジタル技術、自動運転、AI(人工知能)、量子コンピュータなどの革新的技術が次から次へと開発されている。これらの技術は、企業の存続や国の将来を左右するため、国際的に熾烈な開発競争が展開されている。大都市圏に集中している大手企業や革新的企業で最新技術の高度化と集積化が進む一方、地方が取り残され、都市と地方の格差が深刻な状況になってきている。

第二の視点、人口減少に伴う地方消滅の危機である。既に多くの国民の間で、将来の日本の人口減少は認識されているが、その社会経済的な影響が、必ずしも十分に共有されているとは言い難い。2014年に、日本創成会議が、将来の急激な人口減少により、全国の半分に当たる市区町村が存続の危機に陥るという「消滅可能性都市」を発表し、日本に衝撃が走った。これは、地方の人口が一気に減少して、自治体の存続が瀬戸際にあるという指摘である。事実、日本の人口は、2004年の1億2,784万人(高齢化率19.6%)をピークに、以後長期の人口減少過程に入っている。今世期の中ば2050年には、9,515万人(高齢化率39.6%)となるものと推計されている。即ち、総人口は、ピーク時の四分の三に減少、一方高齢化率は倍に上昇する超高齢化社会の到来である。特に、地方において、人口減少とその影響はより深刻である。

このように将来訪れるであろう地方の厳しい現実を踏まえ、如何に地方の視点に立ち、将来にわたり持続可能な地方再生・活性化を達成するか。その一つのアプローチが、地球規模の視野を持ち、地域に根付いた活動を行う「グローカル」の視点である。  
現在のグローカル活動
JGIの「グローカル」との関わり

プロジェクト研究「グローカルデザイン」は、中央学院大学社会システム研究所が2020年に発足させた共同研究です。当協会代表は、この研究会の発足当時から、積極的に参画しています。これまで第一期の研究会活動では、全国から5地方自治を選定し、次の活動を行っています。

1.研究対象自治体

  • 北海道虻田郡ニセコ町
  • 栃木県那須塩原市
  • 群馬県太田市
  • 千葉県我孫子市
  • 島根県出雲市

JGIとして、これまでのプロジェクト研究会での参加活動は、以下の通り。

  • 2020年11月13日(金) 那須塩原市訪問:関係者との面談・調査打合せ
  • 2020年12月6日(金) 太田市訪問:関係者との面談・調査打合せ
  • 2021年11月5日(金) 那須塩原市訪問:プロファイリング説明
  • 2021年11月21日(日)-23日(火)  ニセコ町訪問:プロファイリング説明
  • 2022年7月8日(金) 那須塩原市訪問:関係者面談及び地域資源の確認
  • 2023年1月30日(月) 那須塩原市訪問:グローカルデザイン提案書説明
  • 2023年3月12日(日) ニセコ町訪問:グローカルデザイン提案書説明

2.「グローカル・プロファイリング」の編集:紀要第22巻

3.「グローカルデザイン提案書」の提示:紀要第23巻

詳しい「グローカルデザイン」研究会の概要、活動に関しては、中央学院大学社会システムのHPを参照下さい。